基礎知識

室内機と室外機を繋ぐ冷媒管の役割とは?

エアコンは大きく分けると「家庭用エアコン」と「業務用エアコン」に分けられます。どちらも空気を冷やしたり暖めたりする仕組みは同じです。
しかし、馬力や機能、使用電源など違う点も多々ありますので、ここでは業務用エアコン選定の際に知っておきたい基礎知識をご紹介します。

冷房の場合

エアコンの仕組みと冷媒管の役割

室内に取付ける室内機と屋外に設置する室外機がセットになっており、この二つを繋いでいるのが冷媒配管です。

冷媒配管は細い配管(液管)と太い配管(ガス管)の2本で1セットになっており、室内機で圧縮され液体になった冷媒ガスが液管を通り、室内機まで行き、室内機で気化されます。

気化する際に室内の熱を奪うことで冷たくなった空気を室内に吹き出します。室内の熱を奪った冷媒ガスは熱い気体となってガス管を通り室外機へと戻ります。これを繰り返すことでエアコンは室内の空気を冷やすことが可能となります。

冷媒配管のサイズ

室外機と室内機とを結び熱を運搬する冷媒配管はエアコンの能力(馬力)によって大きさが異なります。エアコンの能力(馬力)が大きくなるにつれて太い配管を使用します。

冷媒配管のサイズ

能力値と冷媒配管サイズの基本的な組み合わせ

メイン管と枝管のサイズ

※配管長や設置状況によっては、上記と異なる冷媒配管サイズでもガス充填などを行うことによって流用可能な場合もあります。

ブレーカーと配線

1.室外機1台につき1つの専用ブレーカーが必要

エアコン室外機には、それぞれ専用のブレーカーが必要です。
1つのブレーカーに複数台のエアコンを接続したり、他の電気機器と共用することはできません。

2.馬力に応じたブレーカーの選定が必要

エアコンの能力(馬力数)に応じた適切なブレーカーを使用する必要があります。
不適切なブレーカーを使用すると、ブレーカーが頻繁に落ちるだけでなく、最悪の場合は火災の原因となる恐れもあります。

3.家庭用ルームエアコンの電源接続(単相)

家庭用ルームエアコンは、ブレーカーからコンセントまで電源を引き、室内機をそのコンセントに接続することで電源を供給します。
一般的に家庭で見られるエアコンの接続方法です

4.業務用エアコンの電源接続(動力)

業務用エアコンの場合は、ブレーカーから室外機に直接電源を供給します(室外機電源)。
ただし、機種によっては室内機に直接電源を供給するタイプ(室内機電源)もあります。
また、家庭用・業務用にかかわらず、室外機と室内機の間には運転切替などの信号や電源をやりとりする「連絡線」を接続する必要があります。電気機器と共用することはできません。

5.電源線の選定も重要です

電源線はその種類や太さによって、供給できる電気の量が異なります。
エアコンの馬力や設置台数に応じて適切な電源線を使用することが大切です。
規定より細い電源線を使用すると発熱によって火災のリスクが高まるため、必ず適正なサイズを選定しましょう。

単相(電灯)のブレーカーと対応表

単層

三相(動力)のブレーカーと対応表

三相

ドレンについて

1.ドレン水とは

エアコンは、熱を持った空気を冷やす際に水蒸気を発生させます。その水蒸気が冷やされて液体になったものが「ドレン水」です。これはエアコンの使用時に必ず発生する副産物です。

2.ドレン配管工事の必要性

室内機に溜まったドレン水は、そのままにしておくと漏水や機器の故障の原因になります。そのため、ドレン配管を使って屋外や指定の排水ルートに排出する必要があり、この作業を「ドレン配管工事」と呼びます。

3.ドレン配管の勾配ルール

ドレン水をスムーズに排出するには、ドレン配管100cmにつき高さ1cm以上の勾配をつける必要があります。適切な勾配がないと、排水不良や水漏れの原因となるため、設置時のポイントとなります。

4.ドレンアップ装置について

天井カセット型エアコンのような、天井に埋め込むタイプのエアコンでは、天井内でドレン勾配をつけるのが難しい場合があります。そのため、室内機本体にドレンアップ装置(ドレン水を上に持ち上げて排出する装置)が内蔵されています。

なお、天吊り型・壁掛け型・床置き型などのエアコンにはこの機能が内蔵されていないため、必要に応じて外付けのドレンアップ装置を設置する必要があります。